意味するもの。その先にあるもの。




鉛色の空。
雨が地面を濡らす。
屋根の下 子犬と戯れる光一。
   
「お帰り。」

顔をあげる光一。
   
「おう。」

びしょ濡れの剛。
口元がうっすら赤く腫れている。
   

「また喧嘩したん?」


口元に手をあてる剛。
   
「名誉の勲章やな?」

おどけてみせる。

   
「何が名誉やねん。そんな喧嘩に意味なんてないねん。なぁ?チビ。」


子犬を抱きかかえ無邪気に笑う光一。
   
「こいつチビいうねん。ここに置いてやってええやろ?」

子犬を剛に見せる。
   

「反対しても飼うんやろ?」
   

「うん。」
   

「せやったら聞く必要ないやん?」

「そうやな。」


満面な笑みの光一に
呆れた顔の剛。
   

「こいつも俺等と一緒や。捨てられてんな。可哀相やな。」


愛しそうに子犬を抱きしめる光一。   
そんな光一を見つめる剛。




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