意味するもの。その先にあるもの。
ひび割れた隙間から夕日が差し込む。
オレンジ色に染まる壁。
温かさを感じる光景。
部屋の片隅で
壁にもたれかかりながら携帯を打つ隆平。
「隆平一人なん?みんなは?」
隆平の隣に腰おろす信五。
「さぁ?忠義なら寝てるで。」
指をさす隆平。
夕日に照らされ眠りにつく忠義。
「よう眠ってるな?」
すやすやと寝息をたてて眠る忠義。
「昼からずっと日向ぼっこやわ。信五は何処いっててん?」
呆れたように苦笑する。
「剛さんと光一さんとこや。」
沈んだ声の信五。
「みんなには黙っててや。」
「何でなん?」
不思議と信五を見る。
「裕がええ顔せんやろう。」
裕を気にして引き攣る顔。
「光一さんのこと誰よりも慕とったんは裕やねん。せやから。」
「わかった。黙っとる。」
必死な信五に了承するしかない隆平。
「ありがとう。」
「一つだけ聞いてもええ?」
一瞬、空気の流れが止まる。
「何?」
「裕は何を考えてるん?」
遠くを見つめ問いかける隆平。
「どういう意味や?」
隆平を睨む信五。
「この頃怖いんや。裕のやつ冷たく冷めきった目をするやろ?」
「心配するなや。裕は俺等を裏切ったりしぃへんから。」
自分に言い聞かせるように
力強く答える。