意味するもの。その先にあるもの。
   





「そういえば和也は?」

和也の姿が見えないことに今頃気づく仁。
  
「奥の部屋。雄一の様子見にいったままだな。」

奥の部屋を指差し答える淳之介。
   
「そうかぁ。」

さっきの明るい雰囲気が消え黙り込む。
   

「…雄一の笑ってる顔みねぇな…。」


呟く竜也。
  
「ほんとだな。もうどれくらい見てないんだろう。」

竜也の言葉に火を見つめたまま答える淳之介。
  
「聖も静かになっちまったし。」

俯く仁。
   
「和也は怖いし…。」

俯く竜也。
  

「戻りてぇな…。」


天井を見上げ呟く淳之介。
   
「俺だって戻りてぇよ。だけど失ったものは二度とは戻ってこねぇ。」

冷たくはき捨てる仁。
沈黙だけが存在し。
誰一人 口を開かない。





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