意味するもの。その先にあるもの。




部屋の一角で
難しそうな表情を浮かべる剛。
剛の目の前には光一に強引に連れられた裕の姿。
   
「なぁ。ええやろ?こいつ行くとこないねん。」

剛に懇願する光一。
   
「せやけどな。こいつは犬とちゃうねんで。」
「見ればわかるわ。」

首を捻り困ったように
光一に理解しやすいように話出す剛。
   
「なら何で。人間拾うてくるねん。ええ加減にせいや。それになこいつが苦労することな
るで。俺だけやなくて他のメンツもそんな簡単に受け入れられんやろう?信用、出来ひんやろう?」
   
「責任は俺が持つ。」

力強い光一の言葉。
   
「ええんか?あんたそんなこと言うて。俺が裏切らへん保障なんて何処にもないんやで。」

黙っていた裕が口を開く。
   

「お前は裏切らへんよ。俺はお前を信じてんねん。」


優しい瞳。
何もかもお見通しのように裕の姿を映す。
   
「…何でや…。何でそんな簡単に信じとるなんて言えるねん。俺が仲間に追いかけられてる訳も知らんやろ?せやのに何で信じとるなんて口に出せるんや。」

ぐちゃぐちゃに傷ついた心が悲鳴を上げるかのように
光一へとはき捨てる言葉。
   
「お前の目見ればわかるねん。お前は仲間を裏切って追いかけられてるんやないことくらいお前の目見ればわかるわ。」

黙りこむ裕。
光一の言葉に悩む剛。
剛の顔を見つめる光一。
   
「わかった。ここにおいたればええ。せやけどここのメンツは光一みたいにそんな簡単にお前を信じることは出来ひんはずや。自分で信頼関係を作れや。ここにおりたいなら自分の力で何とかせいや。」

剛から放たれた言葉は裕には意外な言葉で
ただ固まるしかなかった。
   
「ありがとう。剛。」

裕の頭に手をやり無理やり頭を下げさす光一。
   
「さっき俺に言うた通りこいつが何かやらかしたら光一、お前が責任をとれ。これが条件や。」
「わかっとるがな。」

剛の目を真っ直ぐ見つめる光一。






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