意味するもの。その先にあるもの。
静まりかえる部屋。
割れた窓から差し込む光。
ガラスに反射し暗い部屋に光を灯す。
「おるんやろう?横山。」
階下から聞こえる声。
慌てて階段を下りる裕と信五。
「剛さん。どないしたんですか?」
驚いた表情の信五。
「俺がおらんようになってずいぶん変わってもうたんやな。」
辺りを見わたす剛。
割れた窓ガラスの残骸。
笑いさえなくなった一室。
「横山。」
視線を裕へと映す。
「こんなことするためにお前にここを任した訳やないで。」
黙ったまま剛を見つめる裕。
「ちょい待って下さい。裕だけのせいやないんです。」
割って入る信五。
「お前は黙っとれや。」
怒鳴り声をあげる剛。
「バラバラのボロボロやないか。」
壁を殴りつける剛。
「全て俺の責任です。すいません。」
頭を下げる裕。
その瞳は暗く沈んでいる。
重い空気が部屋中を包む。
時間の流れが長く感じられ沈黙が続く。
「…なぁ。横山。…一度、光一に会いにこうひんか?」
その言葉に頭を上げる裕。
「村上はよう来てくれるけどお前はあれ以来一度もよりつかへん。」
信五見る裕。
気まずそうに視線を逸らす信五。
「来いや。現実から逃げるなや。お前、前に言ったよな?光一に責任感じてるんやないかって。俺は現実を受け止めるためにあいつの傍におるや。…あんな喧嘩しなければ良かったて…今でも後悔するんや…。あいつが教えてくれてん。喧嘩に何の意味もないことを…光一は生きてんで。頑張って生きてんねん。せやから来いや。」
堪えていた涙が溢れ出す。
次から次へと濡らしていく。
ぐしょぐしょに濡れた裕の顔
信五の頬にも涙がつたう。