意味するもの。その先にあるもの。




表とは違い薄暗いコンビニ裏。
人気がなく。
ようやく雄一の肩から腕をはずすすばる。
   
「大丈夫か?」

雄一にかけよる聖。
俯いたままの雄一。
  

「いつまで演技してるん?」


雄一を睨みつけるすばる。
   
「何言ってんだよ。」

すばるの言葉に理解できない聖。
  
「いつまでそうやって黙ってるつもりなん?」

静かな口調で雄一につめよる。
   
「さっきから何言ってんだよ。」

訳も分からずすばるを睨む。
  
「お前は黙ってろや。」

声をあらわにする。
  
「お前のせいでな。お前を庇ったせいでやな。」

雄一の胸倉を掴み壁とおしつける。
   
「手はださねぇんだろう。」

慌てて間に割って入る聖。
  

「裕の目が。裕の大切な左目が失明してもうたやろ。」


つめよるすばる。
一瞬時が止まる。
   
「すばる。すばる。手は出さない約束やで。」

すばるを雄一から引き離す亮と隆平。
  

「もう何も映らひんねん。あいつの左目は真っ暗闇の中や。」


今にでも飛び掛ろうとするすばるを必死でおさえる亮と隆平。
  
「せやのにお前はいつまでそうしてんねん。裕に罪被せたままお前はいつまで現実逃避してんねん。」

雄一の目から溢れ出す涙。
呆然と立ちすくむ聖。
   
「すばる。もうええやろう。」

怒鳴り散らすすばるを強引に連れ出す亮と隆平。
二人に背を向けその場を後にする。



   
「雄一。俺には嘘つくなよ。」
「聖。ごめん。ごめん。ごめんなさい。」

聖の腕の中で泣き続ける雄一。

「泣くなって。」

雄一を強く抱きしめる。




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