意味するもの。その先にあるもの。
「覚えとくといいよ。お前の信用しているご主人様は裏切り者だってことと俺等の大切なダチの命を奪った最低なやつだって。」
怖いくらい無表情の顔。
静かな口調で淡々と語る和也。
「裏切り者?」
訳もわからず頭に入ってきた言葉を口にする。
「そうだよ。あいつは俺等のチームを売ったんだよ。お前等のチームにな。」
「うまくやるよな。横山も。キングにまでのぼりつめて。」
怒りと憎しみが入り混じった感情の竜也と淳之介。
そんな状況の中、笑い出す章大。
「何がおかしい?」
仁が章大へと視線を落とす。
「お前等何か勘違いしてる。一つだけ教えといてやるわ。裕はお前等のチームを売ったりなんかしてひんで。一言もな。それどころか裕は傷だらけのボロボロの状態で俺等のチームに来てん。光一さんに無理やり連れてこられてん。口も態度も相当悪かったけどな。」
馬鹿にしたかのように口角をあげる。
「…黙れ…。…黙れ。黙れ。」
これまでの冷静さは何処へ消えたのか。
怒鳴り声をあげる和也。
章大を蹴りつける。
その光景を黙って見つめていた聖と雄一。
目を伏せる雄一。
拳をギュっと握る。
その様子を見守ることしか出来ない聖。