意味するもの。その先にあるもの。
太陽の光。
オレンジ色に染まる病室。
窓の外を見つめる光一。
「なぁ。剛にお願いがあるねん。」
真剣な眼差しの光一。
「何やねん。」
光一の隣に腰をかける。
「剛も気づいてたんやろ?あいつの左目。もう見えひんのやな。」
「何や。お前も気づいてたんか。」
光一から目を逸らす剛。
「せやからな。お願いや。俺の目をあいつにやってほしいんや。」
一瞬 凍りつく空気。
「何 言うてるん?」
驚いた表情の剛。
「剛。」
まっすぐ剛の目を見つめ笑みをこぼす。
「最後のお願いや。自分の命が残り短いこと知ってんねん。自分のことは自分がようわかってる。それにな剛は昔から嘘つくの下手やったから。」
目を伏せる光一。
「…。」
涙をこらえる剛。
「そんな顔するなや。早いか遅いかの違いやろ?それにな。横山は世の中の汚いとこばかりみすぎとう。もっと綺麗なとこいっぱいあるんに。見せてやりたいねん。あいつに見せてやりたい。」
ペラペラとしゃべり続ける光一。
「…強がるなや…。」
聞こえるか聞こえないかの声。
「俺の前で強がるなや。死ぬのが怖くない人間が何処にいるんや。怖いんやろ?せやったら強がるなや。泣いてええねん。お前はいつもそうや。強がって意地張って…。」
大声をあげ泣き出す剛。
「…剛…。」
顔を伏せる光一。
「お前が泣くなや。…今の俺が出来る…ラストプレゼントやねん…。」
震えた声。
涙をこらえる光一。