意味するもの。その先にあるもの。
過ち
金属のぶつかり合う音。
汚い言葉。
罵声が響く。
何処からか漂う血の臭い。
背後から忍び寄る影。
「雄一。」
振り返る雄一。
ナイフが頬を霞める。
「…と…智久。どういうことだよ。」
智久の手に握られたナイフ。
ナイフの先は雄一に向く。
「こういうこと。」
不敵な笑み。
「嘘だろう…。」
一歩一歩 雄一に近づく。
あとずさる雄一。
必死に智久の手を掴む。
奪い合うナイフ。
「嘘じゃねぇよ。」
雄一の身体を壁へと追いつめる。
恐怖で震える身体。
立っていることも出来ない。
「…。」
「いいねぇ。その顔?」
ナイフで頬を切りつける。
ジワジワ滲み出る血。
「最後に教えてやるよ。横山を裏切り者に仕立て上げたのは俺だよ。」
「…。」
智久を睨みつける雄一。
「何?まだそんな目出来るんだ。」
狂ったような笑い声。
「お前等 騙すのなんて簡単だったよ。横山を追い出すのにはてこずったけどな。お遊びもそろそろ終わりにしようか?」
ナイフを宙へと振り上げる。
目を瞑る雄一。