意味するもの。その先にあるもの。
「嫌ならええねんで。ここにおるんが辛いなら元の場所に戻ればええ。」
穏やかな声に戻る光一。
「今更、戻れへんよ。戻れっかよ。」
目を伏せる裕。
「戻るためにはどんな方法でもあるで。」
「そんなことしよったらお前が困るやろ?俺の責任はお前がとるんやから。」
光一の言葉に驚き目を丸くする裕。
「ええよ。別に。そんなこと気にするなや。」
微笑みかける光一。
「それになお前は絶対ここに帰ってくるはずや。」
自信満々に答える。
「何やねん。その自信どっからくるねん。」
苦笑する裕。
「お前のその不器用な優しさや。大事にしぃや。」
裕に背を向け歩き出す。
薄らと透けていく光一の姿。
目をこする裕。
「おい。」
思わず呼び止める。
「何ねん?」
振り返り笑う光一。
跡形もなく消えていく。