意味するもの。その先にあるもの。





青空の下。
煙草を吸っている裕。
その目にはフェンス越しに見える一つの真っ白な雲。
太陽の光。
生温い風。
ふっと空を見上げる裕。
   
「裕。おいてくで。」

ドア越しに聞こえる信五の声。
   
「今 降りてく。」

その声に返事を返す裕。
煙草をもう一口吸うと地面へ煙草を落とす。
煙草の煙。
真っ直ぐと空へと上がっていく。
しばらくその煙の行方を見つめる裕。
煙草を消しドアへと歩く。
   

『横山。』


光一の声に振り返る裕。
そこはさっきまでと何も変わらない風景。
再びドアの方向へと歩き出す。
   

『お前ならやれる。大丈夫や。』


微笑む光一。
その姿は裕の瞳には映らない。
ドアの開く音。
   
「遅いわ。」

ドアを少し開け顔を出す信五。
   
「ごめん。」

再び後ろを振り向く裕。
   
「どうしてん?」

不思議そうな顔をする信五。
   
「こ…光一さんに…。ううん。何でもあらへん。行こうや。」

信五と共に屋上を後にする裕。






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