まばたき
 涼は高校に入ると音楽に目覚めた。70年代ロックを聴き続けてきた私の影響もあったかもしれない。サッカーボールをギターに持ち替え、友達とバンドを組んだ。バイト代をスタジオ代につぎ込み、見る見るバンドにのめり込んでいった。いつも寝る間際まで、愛おしそうにギターを抱いていた。
 いつしかオリジナルの曲を作るようになり、バンド活動はますます本格化していくようだった。
「みんなでアレンジしてるときがサイコーに楽しい。」
そううれしそうに話す涼は、本当にかわいかった。若い頃自分もバンドをやっていた私は、涼の中に自分の血が流れいるのを肌で感じてうれしかったのだ。
 
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