まばたき
 私はCDジャケット写真をとるため、メンバーの子達と夜中の港の倉庫にいた。若い彼らは、はしゃいで追いかけっこをしたりしてかわいかった。
 涼の彼女のゆりちゃんは、まっすぐな瞳をした綺麗な子で、すでに私とは仲良しだった。私を涼ママ、と呼び、一緒に男どもの子どもっぽさをからかった。

 もうすぐCDが発売される、というある真夜中、突然電話がなった。「?」不安な気持ちで受話器をとると、警察からの電話だった。
 涼がバイト帰りの道で事故にあったというのだ。とるものもとりあえず私は病院に向かった。居眠り運転のトラックに突っ込まれた涼の自転車は、まったく原型をとどめていなかったらしい。
 
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