まばたき
 私はベッド脇のCDプレイヤーに手を伸ばし、スイッチを押す。
 聞きなれたフレーズが流れ出すと、涼はしっかりと目を閉じて、指先をほんのかすかに動かす。その手は、間違いなくリズムを刻んでいるのだ、と私は感じる。
 
 それは涼の作った曲だ。インディーズチャートで1位になった時にはすでに解散してしまっていた幻のバンド、MAX BLUEのたった1枚のCD。
 涼の奏でるギターとゆりちゃんのハスキーでチャーミングな声が、真っ白な病室の天井に悲しく響く。

 
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