兎は俺のモノⅡ
現実…。
閉じていた瞼を開いた。
あの時よりもうまくなっている。
しばらく聞いていた俺はあることに
きずいた。
俺には無い。
俺にはできないことが。
兎にはある。
兎はどんなつまらない
歌でも自分なりに
楽しく歌おうとする。
今だってただの練習なのに
気持ちを込めて歌ってる。
愉快な歌ならホントに
愉快に歌う。
兎の歌には
人の心にすんなり入り込める
力がある。
俺にはできない。
俺には無い力。
でも、今の兎はどことなく
いつもの兎じゃない。