身長差15センチの関係 2
「朝、目覚めるとアパートのドアの前に放置されていた事実なら覚えているぞ」

「中に入ったら殺すとか、今なら命と名誉の両方を守れるぞとか、酔っ払い女という荷物を抱えて夜道を歩かされた恩人への暴言も一緒に覚えていてくれると幸いだ」

「うむ、あのときのがここ数年で一番酷い風邪だったな」

弓倉は、自分の記憶にないことは取り合わない。

「まあそれはいいよ、で、意向に沿わない進路へ進んで良いのか?弓倉は」

「沿わないわけではない、少々気疲れしそうだというだけだ」

「少々ね」
「ああ、少々だ」
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