身長差15センチの関係 2
「では視点を変えよう。君が徒歩で学校に通えるのは、徒歩で通える範囲に学校が置かれているからだ。ありがたいな」

口を尖らせる高志に弓倉はすらすらと、
しかし、あまり本意は感じられない口調で言う。

もちろん横を向いて仕事を続けたままで。

「それなら、僕の家のまえに学校を作って欲しかったです」

「予算が無限にあれば可能かもな。もっとも自宅の目の前に義務教育機関があるなど、私なら遠慮したい」

「それは、そうですね」

家の玄関をでたらすぐに学校。
自分の部屋の窓からいつも見える校舎。

便利だけど、ちょっと窮屈。
だけど、

「でも、そうなれば、もっと先生と一緒にいられますよ」

「・・・・・・」

弓倉の動きがとまった。

それから、
高志のほうを見ないようにしたまま、弓倉の片手が高志の頭をなでまわす。
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