,こだわり
それぞれの距離
チャイムが鳴り、私がドアを開けるといつもの様子でリカコが入って来た。

いや、いつもとは違った。

目つきが険しい。

その表情から、リカコが私が浩哉を部屋に入れたことを面白くないと思っていることが伺えた。

私は人の表情を読むなんてことは、一生出来ないと思っていた。

しかし時折、激しく喜怒哀楽を見せるリカコだけは、付き合っている内にその表情から何を思っているのか分かるようになっていた。

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