,こだわり
「そうじゃないけど。人が集まるところは音が響く可能性があるから」

「ふーん。うるさいところが駄目なのか。じゃあそこの川縁にでも座って話そうか?」

私は首肯いた。

話したくは無かったが、断ってしつこくまとわりつかれるのが嫌だった。

男の意図は分からないが、何にせよ私が言葉を遣って、この男の誘いを上手く断ることは不可能だ。

男は雑草のあまり茂っていない所を選びながら私の前を歩いていく。

男の後ろを付いて歩きながら、一瞬、走って逃げてしまおうかという考えが頭を過ぎる。

でも駄目だ・・・


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