,こだわり
「名前なんていうの?俺は高野浩哉。広告代理店に勤めている。三十三歳だ」

名前、職業、年齢・・・

「相田希菜。無職。二十九歳」

彼が自己紹介した通りの順番で、私も自分について話した。

「えっ、二十九なの?見えないなあ。二十代前半かと思った」

これはよく人から言われるので、返す言葉は用意できている。

「格好が若いからでしょう」

そう言ってから、私は自分の着ている服を見た。

薄手のピンクのセーターにストレートのジーンズ、これならこの言葉でいいはずだ。

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