,こだわり
「希菜ちゃんはあいつに面白がられているのよ。あいつの希菜ちゃんを見る目は玩具かペットを見る目だよ。ただ興味本位で希菜ちゃんに手を出して来たんだよ。あいつは希菜ちゃんが臨機応変に振舞えないことを分かっていて、自分の命令したとおりに動かして楽しんでいるんだよ。一通り遊んだら捨てられるよ。飽きたらきっとゴミみたいに扱われる。だって元々、あいつにとって希菜ちゃんは恋人でもなんでもないんだもの。分かるでしょ?」

彼女の唇から次々と出てくる否定的な言葉に、私はまくし立てられた。

「そんなに立て続けに、言葉を並べられたら理解できない」

私は力のない声で返事をした。

本当はリカコの言っていることは大方、理解できていた。

しかし私は分からない振りをしたかった。
< 161 / 222 >

この作品をシェア

pagetop