,こだわり
「浩哉は、はっきり私に物を言ってくれる」

そう言った私に、リカコは

「だからどうだって言うのよ。本当に馬鹿ね。まだ分からないの?」

と言った。

そして今度は私の髪を掴んで、私と目を合わせた。

私は彼女の瞳を見ていられなくなり、彼女の唇に目を落とした。

すると彼女の唇は微かに震え、口角は上がっていた。

その瞬間、気が付いてしまった。

彼女もまた、私のことを一人前の人間として、認めていないのだということに。

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