,こだわり
「ん?どうなんだ?」

彼は指を動かしながら、私を仰向けにした。

私の視野にまた橙色に光るカーテンが入ると、私はそれから視線を外せなくなった。

「カーテン・・・」

「そんなに気になるなら、目を閉じてろ」

そう言って彼は、キスで私の口を塞いだ。軽い煙草の香りがした。

嫌な匂いではなかった。

私は彼に言われた通りに目を閉じてみた。

すると目の前には何も無くなってしまった。

今度は空虚な空間が私を怯えさせた。
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