,こだわり
「分かる?私のこと」

「ああ、何となくね。すっかりは理解できないよ。聞いただけで全部、分かるなんて有り得ないからね。
でも希菜さんが自分について説明してくれたことは分かり易かったよ」

私の説明が分かり易かった・・・そんなことを言われたのは初めてかもしれない。

私は驚いて、つい木の葉から目を離して、彼を見た。

じっと彼の黒い瞳を見つめると、まるでビードロか何かを鑑賞しているような気分になった。

それほど彼の瞳は艶やかで、綺麗だった。

私に見つめられて彼は、ニッと笑って言った。

「俺のことも分かってくれるか?」


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