,こだわり
彼女の唇
午前三時に部屋のオートロックを解除する。

リカコがやって来たからだ。

リカコは本当はリカコじゃない。

何だっけ、本名は・・・

麻美だったかな。

確か麻美っていう本名がうざくて嫌だから、リカコはリカコなんだ。

そんなことをいちいち思い出す私が嫌だ。

リカコのことを考えると、いつも何かから逃げようとしている彼女に、悪意のある視線を向けている私がいるような気がする。


でもそんな私は現実にはいない。

いない振りをしてオートロックを解除する。
 
< 67 / 222 >

この作品をシェア

pagetop