，こだわり

「好きな人は出来ない」

浩哉のことは自然に感じたが、好きかどうかはまだきちんと考えたことはなかった。

だから好きな人は出来ないという答えは嘘ではない。

しかし私は、リカコに浩哉のことを知られたくないという気持ちが自分の中にあるのに気付いていた。

なぜ知られたくないのか？

きっとリカコが浩哉のことを不自然に感じる気がしたから。

でもそれは私の憶測であって、浩哉のことを隠すことはリカコに失礼な気もした。

だからわざわざ彼のことをリカコに話して聞かせるようなことはしないが、ひた隠しにする気もない。

何かのはずみでリカコが浩哉のことを知るようなことがあれば、それはそれでいいと思った。