,こだわり

出会い -1-

私が彼、高野浩哉と出会ったのは病院の帰り道だった。

その日私は、隔週に通院している総合病院の神経科の受診を終えて、河川敷を歩いていた。

『春は何となく調子が悪い』

主治医の女医にそう訴えると、彼女は春には急に代謝が上がってホルモンバランスが崩れたりするから、仕方ないのだと言った。

『でも、あなたは病気というほどの病気ではないのだから、家に籠っていないでなるべく外に出て、軽い運動なりをした方がいいわよ』

彼女の声がはっきりと耳元に残っている。

その声に脅迫されたかのように、私は真直ぐ自宅へ帰ることを諦めて、河原を歩くことにした。

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