,こだわり
春の緩い気温と風の中にあっても、私の身体は少しも心地よさを感じない。

二台の自転車が私の側を通り抜ける。

「酒屋のところを右だからね!分かってる?」

「分かってる!高橋んちの手前だろ」

小学生らしい2人の男の子の会話の声がやけに大きい。

こういう場所はやたら人の声を大きくする。

特に子供達が遊びながら発する声や、若い人達がスポーツに熱中して叫ぶ声は異常な周波数を持っている。


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