月のうさぎに犯されて
「あんたって入学してから遅刻しなかった日ある?」
「ないかも」
有紀は美貌を崩す事なく笑う。崩すどころか魅力が何百倍にも増した。
有紀は目の代わりにアメジストが入っていて、鼻は滑らかな陶磁器が曲線をかたどってる。
肌はロウで出来ていて、爪は水晶。長い髪は黒いシルクだ。
そんな笑顔のお人形さん。
ちくしょう。絵になるぜ。
「よくあんた先生に呼び出されないわね」
「特別待遇か、愛想尽かされてるかのどっちかなんじゃないの?」
有紀の顔が今度は崩れた。
「どっちにしろ――いいものじゃないわね」