ココアブラウン
電話の内容は全てうちの会社名で送られたCDROMについてだった。

ほとんどの取引先はすでにインストールを実行していた。

今時、パソコンにソフトをインストールするなどたいしたことではない。

その郵便にはインストールの実行方法も懇切丁寧に記されていたらしい。

インストール完了直後にメールソフトが勝手に起動して、そのパソコンに入っていたデータをアドレス全てに送りつけているようだった。

ひどいところでは銀行口座の暗証番号までが流出していた。

取り乱す取引先の電話を必死に取りながら絵里に告げた。

「絵里ちゃん、部長呼んで。大至急」

今、社内にはあたしと絵里、新の3人しかいない。

絵里もひっきりなしに鳴り続ける電話を取るだけで手一杯だ。
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