ココアブラウン
ボタンを押した瞬間けたたましくブザーの音がフロア中に鳴り響いた。
あたしは自分のIDカードのブザーを止めて新に言った。
「井上さん、悪いですけど資料室に行って製品データと顧客データ、ああ 伝票も。とにかく直近の資料全部持ってきてください」
「資料?そんなの後でいいだろ」
「社内のシステムはもう停止しました。これからの問い合わせはデータベースは使えません。私と絵里ちゃんは電話を離れられないから」
「わかった」
新が出ていくのと前後して外出中の社員からの連絡が入り始めた。
あたしも手近に光る外線電話を取る。
「ゆかちゃん、山本だけど。何だい、緊急スクランブルなんて使っちゃって。間違ってボタン踏んじゃった?」
「山本さん、すぐに会社に戻ってください」
「かりかりしてるねぇ。戻るけどさ、昨日井上に邪魔された続きはいつにしてくれる?」
平和ボケだ。あたしは答ずに受話器を置いて途切れることなく鳴り続ける電話を取った。
あたしは自分のIDカードのブザーを止めて新に言った。
「井上さん、悪いですけど資料室に行って製品データと顧客データ、ああ 伝票も。とにかく直近の資料全部持ってきてください」
「資料?そんなの後でいいだろ」
「社内のシステムはもう停止しました。これからの問い合わせはデータベースは使えません。私と絵里ちゃんは電話を離れられないから」
「わかった」
新が出ていくのと前後して外出中の社員からの連絡が入り始めた。
あたしも手近に光る外線電話を取る。
「ゆかちゃん、山本だけど。何だい、緊急スクランブルなんて使っちゃって。間違ってボタン踏んじゃった?」
「山本さん、すぐに会社に戻ってください」
「かりかりしてるねぇ。戻るけどさ、昨日井上に邪魔された続きはいつにしてくれる?」
平和ボケだ。あたしは答ずに受話器を置いて途切れることなく鳴り続ける電話を取った。