ココアブラウン
「おばちゃん、だーれ？」

「おばちゃんはね、ママのお友達」

「ふーん、きょうね、りゅうた、おたんじょうびなんだ」

「そっか、おめでとう」

うん、と元気いっぱいにうなづくと隆太はまたとてとてと砂場へ戻っていった。


体重を感じさせない軽い明るい足音で。


「由香里さん、ありがと。気を使ってくれて」


美樹はまとめた髪をほどいて後れ毛を整えた。


「あなた、ずいぶんきれいになったのね」



ゴムで高く髪を結い上げて、あたしの方をまっすぐに見た。


「ずいぶん、勉強したのね。そういうオンナ、私大好きよ」


髪をしばるその指は前に見たときと違ってラインストーンもエメラルドもなかった。

節くれだってごつごつしていることにあたしは気付いていた。

でもそれを指摘することは、あたしには出来なかった。
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表紙・目次

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