ココアブラウン
急に視界を奪われた。

電気がついてオフィスが明るくなる。


思ってもみないことに驚いて



顔を上げたらそこに



新が立っていた。




泣いてることに気づかれたくなくてあたしは窓の外に視界を向けた。


ガラス越しに新があたしを見てる。

だけど、何もいうことはなくて黙ったまま外を見ていた。



新も何も言わずに自分の席に歩いていく。


そして、パソコンの電源を入れて静かにノートを開いていた。



あたしたちの間に音はない。

掛ける言葉も立てる音も見つけられなくてただ顔をそむけていた。


ブーンと小さな音をたててパソコンが起動する。

その音だけが響いてあたしたちをさえぎっていた。
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