ココアブラウン
沈黙に耐えられなくなった。

あたしは新の席に向かって歩いた。

新は近づくあたしに気づいているのに決してあたしを見ようとはしない。

カタカタと叩かれるキーボードの音がふと止む。

ノートパソコンをパタリと閉じて新があたしに言った。


「ゆかちゃん、なんでこんな時間にこんなとこにいるんだよ?」

怒りを含んだ低い声だった。


「どうして怒られなければならないの?」

「こんなクリスマスの夜に電気もつけない暗い席でどうして君が泣かなければならない?家に帰ったはずじゃないのか?」

「そんなことは井上さんには関係ないことよ」

「答えになってない。なんで泣いてた?」


ーあたしはあなたがー


唐突に新への想いがせりあがって爆ぜた。


だけど、口に出せないこの想いはあたしの中で怒りに変換された。


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