ココアブラウン
「なんでってあなたには関係ない。あたしはあなたを見てた。見て欲しいと思った。だけど、あなたはあたしを避けてる」

「・・・・・・」

「ねえ、どうしてなの。あたしはあなたに迷惑をかけたの?」

「・・・・・・」

「絵里ちゃんにしゃべるのとあたしにしゃべるのとでは違うの?あたしがあなたを縛ったの?付きまとわれるのがいやだったの?それとも、視界に入れるのがいやなほどあたしのことが嫌いなの?話しかける価値もないの?」

「・・・・・・」

「30オンナには何をしてもいいと思ったの?」

「・・・・・・」

「お願い、教えて。あたしはもうどんなことを言われたって傷つく感受性はないから。本当のことが知りたいの」

「ゆかちゃん」

「君は質問するばかりだね。俺だって聞きたいことはある。ゆかちゃん、君は俺のことが好きなの?じゃあ、家に、旦那さんのところに帰らない日はあった?俺に一途に向かってくれたことがあった?自分のことを変えようとして服や靴を変えたって、ゆかちゃんの中身は変わらないんだ。なのに君は外見だけを変えて俺を見つめるだけで行動は起こさない。自分が傷つくことは自分からはしない。俺のほうから来るのを待ってるだけなんだろ」

「・・・・・・」

今度はあたしの口から言葉が奪われた。

「仕事も欲しい、だんなも欲しい、俺も欲しいんだろ?」




「結局、ぜいたくなんだよ」
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