ココアブラウン

崩す

わかってた。

ただ自分の想いを伝えたかっただけだ。

あたしはコートを羽織った。


「帰るね」


オフィスをあとにしてエレベーターの前に立った。

だけど、時間外でエレベーターすら動いていなくてあたしは非常階段で降りた。


カツーンッ。カツーンッ。

ヒールの音がする。

普通に歩くときはカツカツと連続した音なのに今日は妙に間延びして聞こえた。


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