ココアブラウン
第8章
啜る
「全員そろったな。朝礼を始める。起立」
時計の下で部長が重々しい声で言う。
全員が緊張した顔で部長を見た。
部長の隣には雄治が立っていた。
厳しい顔で。
隣の席に絵里の姿はない。
あたしも席について部長のほうを見た。
時計の下にはホワイトボードがかかってる。
部長の肩越しにホワイトボードが見えてあたしはいつも朝礼中に社員の一日をチェックしていた。
その行為は習性で何の気もなしに部長をなめてホワイトボードを見た。
社員全員の名札が並ぶボードに「井上」の名前がなかった。
「奥野さん、じゃあ、発表を」
雄治が咳払いをして一枚の紙を取り出した。
「先日の顧客情報漏洩の件の調査結果を発表します。親会社に昨日、漏洩の本人から申出があり処分を決定しました」
あたしは身を固くして目を閉じた。
絵里。おそらくあたしも。
「営業第1部 主任 井上新を降格とし、期限を無期として謹慎処分にする」
時計の下で部長が重々しい声で言う。
全員が緊張した顔で部長を見た。
部長の隣には雄治が立っていた。
厳しい顔で。
隣の席に絵里の姿はない。
あたしも席について部長のほうを見た。
時計の下にはホワイトボードがかかってる。
部長の肩越しにホワイトボードが見えてあたしはいつも朝礼中に社員の一日をチェックしていた。
その行為は習性で何の気もなしに部長をなめてホワイトボードを見た。
社員全員の名札が並ぶボードに「井上」の名前がなかった。
「奥野さん、じゃあ、発表を」
雄治が咳払いをして一枚の紙を取り出した。
「先日の顧客情報漏洩の件の調査結果を発表します。親会社に昨日、漏洩の本人から申出があり処分を決定しました」
あたしは身を固くして目を閉じた。
絵里。おそらくあたしも。
「営業第1部 主任 井上新を降格とし、期限を無期として謹慎処分にする」