ココアブラウン
その日、会社が終わった後あたしは家に帰った。

たった2日家を空けただけなのに1年以上暮らしたこの家は知らない誰かの家に思えた。

当たり前のように夫は家にいなかった。


廊下を抜けてリビングに入る。


ーあの人はあたしがいなくなったことにまだ気づいてないのかもしれないー


ダイニングテーブルの下には夫がはたき落としたクリスマスケーキが崩れたままこびりついていた。


テーブルの上にはかちかちに冷え切ったローストチキン。

出て行ったときのままであたしはなんだかおかしくなった。

思い出してテーブルの下を見ると転げ落ちたまま首のもげたサンタクロースが出てきた。


全部をゴミ袋にいれて食器を洗った。


テーブルをふいてリビングを見渡す。


ーもしかしたら今日帰ってきてもこのテーブルが片付いていることにあの人は気づかないんじゃないかしらー


ゴミ袋の口をきつくしばって外に出した。



ー明日は今年最後の回収日だからー

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