ココアブラウン
頼む
12時を過ぎてあたしは絵里と二人で会社を出た。
歩いて20分はかかるあの喫茶店に向かった。
タクシーで行こう、そう主張する絵里を説き伏せてあたしたちは歩き出した。
なんだか雄治の電話に不吉なものを感じて、話を聞くのを少しでも後回しにしたかった。
1月のバーゲンが終わって、街のショーウインドウは春の装いで彩られている。
だけど風はまだ冷たくて、あたしはコートの襟を合わせた。
「だからタクシーで行こうって言ったのに」
絵里は不服げに口をとがらせる。
絵里は白いストールを巻き直して歩く間中、文句を言っていた。
ちりん、とドアベルが鳴って中に入る。
雄治がこちらに背を向けて座っていた。
「よう、2人とも久しぶり」
絵里はなぜか雄治から離れてボックス席に腰を下ろした。
あたしは雄治の向かいの席に座る。
「雄治さん、どうしたんですか?こんなところで話って」
「新のこと」
あたしは身を乗り出して雄治のほうへ向き直った。
歩いて20分はかかるあの喫茶店に向かった。
タクシーで行こう、そう主張する絵里を説き伏せてあたしたちは歩き出した。
なんだか雄治の電話に不吉なものを感じて、話を聞くのを少しでも後回しにしたかった。
1月のバーゲンが終わって、街のショーウインドウは春の装いで彩られている。
だけど風はまだ冷たくて、あたしはコートの襟を合わせた。
「だからタクシーで行こうって言ったのに」
絵里は不服げに口をとがらせる。
絵里は白いストールを巻き直して歩く間中、文句を言っていた。
ちりん、とドアベルが鳴って中に入る。
雄治がこちらに背を向けて座っていた。
「よう、2人とも久しぶり」
絵里はなぜか雄治から離れてボックス席に腰を下ろした。
あたしは雄治の向かいの席に座る。
「雄治さん、どうしたんですか?こんなところで話って」
「新のこと」
あたしは身を乗り出して雄治のほうへ向き直った。