ココアブラウン
「クリスマスもその前も俺、あいつと言い合いになった。あいつ、その前から自分の担当の取引先全部譲って、今回の処分がなかったとしてもおかしい。あいつ何か隠してる。だけど、俺もあいつも意地っ張りだから俺が病院に行ったって口を割るはずがない」

雄治は絵里の方をみて続けた。


「絵里、お前も聞いてくれ。だから頼む。きみたち2人に病院に行ってきてほしい」


絵里は雄治の言葉を無視してアイスコーヒーをかき回した。


「俺に連絡してくれって。もう俺は怒ってないって伝えてきてくれないか?」


雄治は一枚の紙を取り出すとあたしに渡した。

そこには病院の地図が手書きで乱雑に書かれていた。


ー竹内病院 407号室ー


あたしは唇の端でつぶやいた。


「せっかくだからランチ食ってけよ」


雄治はランチに手をつけずに出て行った。ちりん、とドアベルを鳴らして。
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