ココアブラウン
絵里はコーヒーの最後の一口を飲み終わるところだった。
あたしは冷めたランチに手をつけて絵里を見る。
ボックス席で備え付けの雑誌を読みながら絵里は水を飲んでいた。
「ねえ、絵里ちゃん、どうして雄治さんと話さなかったの?」
「別れたんです」
「え?」
「別れたってのいうのもおかしいですけどね、もともと不倫だし。ここ1ヶ月くらい雄治さん、私と会わなくなって。仕事が忙しいってのもあるんでしょうけど」
絵里はメニューを広げてプリンアラモードを注文した。
「時間を作って会ってくれたって結局、雄治さんは奥さんのところに帰るんです。分かってて始めた関係だった。だけどある日、私と会った後奥さんのところに帰る後ろ姿を見送ったら切なくてたまらなくなりました」
絵里は生クリームでデコレーションされたプリンアラモードのバナナを切り分ける。
「それに、どうやら奥さん2人目の赤ちゃんできたみたい。私やっぱり自分だけを見て欲しかったんですね。好きな人の横に立つ権利が自分にないって気づいちゃったら、私」
バナナは原型をとどめないほど細かく刻まれてフォークの背で皿に押し付けられていた。
「私から雄治さん、切っちゃいました」
あたしは冷めたランチに手をつけて絵里を見る。
ボックス席で備え付けの雑誌を読みながら絵里は水を飲んでいた。
「ねえ、絵里ちゃん、どうして雄治さんと話さなかったの?」
「別れたんです」
「え?」
「別れたってのいうのもおかしいですけどね、もともと不倫だし。ここ1ヶ月くらい雄治さん、私と会わなくなって。仕事が忙しいってのもあるんでしょうけど」
絵里はメニューを広げてプリンアラモードを注文した。
「時間を作って会ってくれたって結局、雄治さんは奥さんのところに帰るんです。分かってて始めた関係だった。だけどある日、私と会った後奥さんのところに帰る後ろ姿を見送ったら切なくてたまらなくなりました」
絵里は生クリームでデコレーションされたプリンアラモードのバナナを切り分ける。
「それに、どうやら奥さん2人目の赤ちゃんできたみたい。私やっぱり自分だけを見て欲しかったんですね。好きな人の横に立つ権利が自分にないって気づいちゃったら、私」
バナナは原型をとどめないほど細かく刻まれてフォークの背で皿に押し付けられていた。
「私から雄治さん、切っちゃいました」