ココアブラウン

綻ぶ

部長に雄治からの伝言を伝えた。

先に雄治から連絡が入っていたらしく、あたしと絵里はそのまま午後の業務時間内に竹内病院へ行くことを許された。


すぐに着替えて出かけようとしたとき、ちょうど営業に向かう社員が車で近くまで通りかかるというのであたしたちは病院からほど近いデパートの前で車を下ろしてもらった。


「先輩、おみやげ買ってきましょうよ」

「遊びに行くんじゃないのよ、それにおみやげじゃないの、お見舞。絵里ちゃん何か見つくろって買ってきてくれない?」


絵里が店の中に入っていってあたしは入り口にたたずんだ。




雄治の言葉が気になる。




新は処分される前から担当を全部譲った。

新の部屋はがらんとしてた。家具もカーテンも何もなかった。

水さえ出なかった。

新の机はなにもかもが片付けられてた。



そして、長すぎる検査入院。




胸騒ぎがする。




絵里が抱えるほどのバラの花束とコーヒーの袋を持って戻ってきた。


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