ココアブラウン
新の葬儀から3週間が過ぎた。
あたしの退職願は受理されて絵里への引継ぎも終え、最終出社日を迎えていた。
絵里は天真爛漫で小悪魔なのは変わらないけど、この3週間で仕事に対する取り組み方が少しずつ変わってきたように思う。
責任感を語るにはまだまだ程遠いけど。
自分の席からオフィスをぐるりと見渡した。
10年間を過ごした場所。
よくも悪くもいろんな思い出が詰まってる。
「先輩、また会えますよね」
「ん、ちゃんとやってるか見に来るよ」
「えーっ!せっかくうるさい目の上のたんこぶがいなくなって、わたし楽しようと思ったのにー」
絵里はあたしに大きなバラの花束を手渡した。
「オンナの節目にはバラが必要ですよね」
気高く華やかなフェアビアンカ。
むせ返るような香りに包み込まれてあたしは幸せな気分になった。
「絵里ちゃん、いろいろありがとう」
ホワイトボードの前で自分の名札をはずす。
腰が折れるほど深く頭をたれて、あたしはオフィスのドアを閉めた。
あたしの退職願は受理されて絵里への引継ぎも終え、最終出社日を迎えていた。
絵里は天真爛漫で小悪魔なのは変わらないけど、この3週間で仕事に対する取り組み方が少しずつ変わってきたように思う。
責任感を語るにはまだまだ程遠いけど。
自分の席からオフィスをぐるりと見渡した。
10年間を過ごした場所。
よくも悪くもいろんな思い出が詰まってる。
「先輩、また会えますよね」
「ん、ちゃんとやってるか見に来るよ」
「えーっ!せっかくうるさい目の上のたんこぶがいなくなって、わたし楽しようと思ったのにー」
絵里はあたしに大きなバラの花束を手渡した。
「オンナの節目にはバラが必要ですよね」
気高く華やかなフェアビアンカ。
むせ返るような香りに包み込まれてあたしは幸せな気分になった。
「絵里ちゃん、いろいろありがとう」
ホワイトボードの前で自分の名札をはずす。
腰が折れるほど深く頭をたれて、あたしはオフィスのドアを閉めた。