ココアブラウン
こんなときどうすればいい。

あたしは恋愛をしたことがない。

駆け引きを知らない。

あたしは夫がいる。

こんな想いを抱くことは罪なの？


今日あったこと、自分がどうしてこの場所に来たのか。

誰もあたしのことを見てくれなかった。


そんなあたしのことを新はかわいいっていってくれた。




とたんに思い出した。

夫とアシスタント。美樹。



夫は自分の人生にあたしを寄せ付けない。


あてつけ？


今、新のことを想うのは。



違う。


あのココアの日からあたしの心には新が住んでいる。


新が今隣にいる。ただ、新が欲しい。



水音はやんでいた。

窓の外には冴えた色の月が光っていた。


あたしはベッドを抜け出した。
< 60 / 207 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop