ココアブラウン
廊下には誰もいなかった。
ひんやりと静かな深夜のホテル。
1104室の前に立ってあたしはひとつ深呼吸をした。
ドアを叩いた。
たっぷり30秒。
ドアが開いて新が顔を出した。
「なんとなく、来るんじゃないかって思ってた」
新はあたしをまっすぐに見た。
あたしは目をそらさなかった。
「おいで」
あたしの二の腕をつかんで新は自分のほうにあたしを引き寄せた。
新の顔が間近に迫ってあたしの唇をふさいだ。
あたしは目を閉じなかった。
この瞬間を目に焼き付けておきたかった。
初めての自分が望んだキス。
夫とは違う唇の感触。それは温かくてやわらかだった。
新はあたしのことを抱えあげるとベッドに運んだ。
そして、そっと体を置くとあたしの上に乗りかかった。
ーもう、あともどりは、できないー
ひんやりと静かな深夜のホテル。
1104室の前に立ってあたしはひとつ深呼吸をした。
ドアを叩いた。
たっぷり30秒。
ドアが開いて新が顔を出した。
「なんとなく、来るんじゃないかって思ってた」
新はあたしをまっすぐに見た。
あたしは目をそらさなかった。
「おいで」
あたしの二の腕をつかんで新は自分のほうにあたしを引き寄せた。
新の顔が間近に迫ってあたしの唇をふさいだ。
あたしは目を閉じなかった。
この瞬間を目に焼き付けておきたかった。
初めての自分が望んだキス。
夫とは違う唇の感触。それは温かくてやわらかだった。
新はあたしのことを抱えあげるとベッドに運んだ。
そして、そっと体を置くとあたしの上に乗りかかった。
ーもう、あともどりは、できないー