ココアブラウン
美樹の会社を出るとあたしは道沿いにあるオープンカフェに入った。


11月も終わりだというのに学生らしい女の子達は外でお茶を飲んでいる。

あたしは店の中に入るとホットココアを頼んだ。


美樹から渡されたR-BOOMを見る。

外の女の子達はまるでその雑誌から抜け出したような恰好をしていた。

あたしは自分がこの場所にはそぐわないことを知った。


ココアの蒸気を頬にあてながら外を見た。

女の子達の後ろには巨大な摩天楼が広がっていた。

あの中にはあたしが通らなかったすべての道がある。

高価なブランドやセレクトショップ。


これまでならあたしはそんな店素通りしてたはず。

高いし販売員も恐くて。

でも、今のあたしはこのビル群の中で変わりたかった。



愛されるOLになるために。
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