ココアブラウン

壊れる

ほとんどの部員が集まっていた。

雄治にはそれだけの人気がある。

いや、それだけじゃないだろう。

うまく雄治の目に留まれば親会社への移籍の道が開けるかも知れない。


会社員としての駆け引きの場。


酔っているように見えても本心から酔っているオトコは一人もいない。

そんな中で絵里は蝶のようだった。


飲み会が進むにつれて3、4人の小さな輪に分かれていきそこここで当たり障りのない会話が繰り広げられている。


絵里はその輪すべてを均等に回って話に入っていた。


ふと気づくとあたしの周りには誰も人はいなかった。


アマレットをすすって人の輪を見つめた。

そんな所在なげなあたしのそばに絵里がやってきた。



「先輩こっち、こっち」

手を引かれて向かった人の輪の中には雄治がいた。

彼の回りにはたくさんの部員が笑いさざめいていた。

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