ココアブラウン
「西田さん、休み中なんかあった?急にきれいになって」

雄治が口火を切るとほかのオトコたちも矢継ぎ早に質問を浴びせ掛けてきた。


「不倫願望?なあんて」

「いやあ、心境の変化でしょ?熟女モードで色気出したい、とか?」

「いやあ、30の手習いでしょ?メイクの」



語尾を茶化したら冗談になると思うのだろう。オトコたちは。

いつもそうだ、周りを埋めるようにじわじわと核心を目指す。

揚げ足を取られないように。


あたしは微笑んだ。勘繰られるのは嫌だった。


笑っておけば話は転がる。
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