ココアブラウン
「自己顕示だろ」



その場の空気が凍り付いた。



吐き捨てるような冷たい声。


誰もが一瞬手を止めた。



「新、飲み過ぎだろ?」


雄治が新の右手を掴んだ。

人の輪の後ろに新が立っていた。

新が手にしたグラスの琥珀色の液体が揺れた。

まるであたしの心のように激しく強く波を立てていた。


「なあ、新。西田さんに謝れよ、ごめん西田さん俺、新にさっきがぶ飲みさせたからさ、ほらこいつ目が据わってるだろ。絶対明日覚えてないだろうから俺に免じて許してやって」


不安げに眺めていた絵里も続けた。


「そうだよ。新ちゃん、西田先輩が急に綺麗になったから照れたんでしょ」

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