キミと、世界の果てまで。



「未来、出来たぞ」


 
「あ、うんっ…!ありがと寛司!」




レンの姿に視線を奪われている間にも、あたしが寛司に頼んだ焼き鳥は焼き上がり、プラスチックのケースが渡される。


熱々の焼き鳥を落とさないように、あたしは接客に戻っていった。



…レンのヤツ、あたしと目を合わさなかった所か、こっちを見ようともしなかったな。


また原因不明の感情が渦を巻きながら、あたしの心を支配していく。




「未来ちゃん、未来ちゃん!」



「へ?」



「お客さん焼き鳥待ってるよ?早く渡してあげないと」




気が付けば、あたしはお客さんの前で、焼き鳥を持ったまま突っ立っていた。


愛海ちゃんの一言により、あたしは営業スマイルで焼き鳥を渡す。



それでも、心のモヤモヤは消えないままだった。




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